パワハラにあたる具体的な言動とは

2019年11月23日

こんにちは、精神保健福祉士の杉山です☺本日は、2019年5月に成立したハラスメント防止法によって具体化されるパワハラにあたる言動についてのお話です。

ハラスメント防止法?どんな法律?

そのままずばり「ハラスメント防止法」という法律が新たに制定されたのではなく、「労働施策総合推進法」という既存の法律が改正され、その中にパワハラについて防止措置義務を定めたというもので、いわゆる「ハラスメント防止法」と呼ばれています。
これまで、セクハラやマタハラについては「男女雇用機会均等法」「 育児・介護休業法 」という法律があり、それに従い企業はセクハラやマタハラの防止措置を取る必要がありました。今回のいわゆる「ハラスメント防止法」によって企業はパワハラについても法律の下、パワハラ防止のための措置を講じる義務が課されました。

パワハラの線引きがされるって聞いたけど…?

そして、この法律について、具体的な指針として厚生労働省から2019年10月に「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」が出されました。(これは素案でまだ確定したものではありません)
そこには、職場におけるパワーハラスメントについて、次のように書かれています。

職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③の要素を全て満たすもの。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

どうでしょう。あなたを日頃悩ませている「ハラスメントだ」と感じる言動は、上記の①~③に該当しそうでしょうか。

①「優越的な関係を背景とした」言動

①の「優越的な関係を背景とした」言動というのは、「上司から部下へ」だけではなく以下の者等を含むとされています。

  • 職務上の地位が上位の者による言動(これは上司から部下へですね)
  • 同僚または部下による言動で、当該言動を行うものが業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当会社の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの( 経験や知識で優越的な立場にある同僚から同僚へ、部下から上司へですね)
  • 同僚や部下からの集団による好意で、これに抵抗または拒絶することが困難であるもの(同僚や部下という立場であっても、まとまるとで優越的な立場になるのですね)

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動

そして②の「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動というのは、具体的にはどのようなものなのかが気になりますよね。それは以下のように書かれています。

  • 業務上明らかに必要のない言動
  • 業務の目的を大きく逸脱した言動
  • 業務を遂行するための手段として不適当な言動
  • 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

これらは個人の主観ではなく、社会通念に照らして判断されます。
ハラスメントを受け困っている際に、ハラスメントと感じる言動が「いつどこでどのように行われているのか」を具体的に会社側に伝えることが求められます。

③「就業環境を害すること」

ハラスメントを受けていると感じ困っている人は、就業環境が害されている!と感じていますよね。だから、 ③の「就業環境を害すること」はみんな該当すると思えますが、それについては、以下のように書かれています。

当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。
この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」すなわち同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者の多くが、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当

「私が嫌だと思ってるんだからパワハラだ!」ではなく、「社会一般の労働者の多くが同様に感じるよね」というものがハラスメントにあたるということですね。

パワハラの具体的な事例

この指針素案には、具体的にパワハラに該当すること考えられる例と該当しないと考えられる例も書かれています。
ただし、これはあくまでも2019年10月に出された指針素案に書かれた現時点での案であり、また該当するか否かは所属する企業の業務特性やその時の状況、平均的な労働者が同様に感じるか等、様々な要素を総合的に考慮されるものです。
ここに書かれている行為が必ず「パワハラに当たる」「パワハラには当たらないからやっても構わない」というものではなく、参考として目を通してみてください。

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身体的な攻撃(暴行・傷害)
〈該当すると考えられる例〉
・殴打、足蹴りを行うこと
・けがをしかねない物を投げつけること
〈該当しないと考えられる例〉
誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさせること(最終案で削除されました)

精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
〈該当すると考えられる例〉
・人格を否定するような発言(例えば、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な発言をすることを含む)
・業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと
・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと
・相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者あてに送信すること
〈該当しないと考えられる例〉
・遅刻や服装の乱れなど社会的なルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ再三注意しても改善されない労働者に対して強く注意をすること
・その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、強く注意をすること

人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
〈該当すると考えられる例〉
・自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること
・一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること
〈該当しないと考えられる例〉
・新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施すること
・処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させる前に、個室で必要な研修を受けさせること

過大な要求
〈該当すると考えられる例〉
・長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での、勤務に直接関係のない作業を命ずること
・新規採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること
・労働者に業務とは関係のない詩的な雑用の処理を強制的に行わせること
〈該当しないと考えられる例〉
・労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること
・業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること

過小な要求
〈該当すると考えられる例〉
・管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること
・気に入らない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと
〈該当しないと考えられる例〉
・経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること (最終案で削除されました)
・労働者の能力に応じて、業務内容や業務量を軽減すること

個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
〈該当すると考えられる例〉
・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること
・労働者の性的指向、性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること
〈該当しないと考えられる例〉
・労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと
・労働者の了解を得て、当該労働者の 性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、 必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと