これってパワハラ?!職場のいじめとハラスメント
職場のいじめやハラスメントどうすればいい?
(2019.11.21追記) この記事は2014年1月に書いた記事です。5年以上が経ち、2019年5月にはいわゆるパワハラ防止法がようやく成立しました。
⇒2019年5月に成立したパワハラ防止法について書いたコラムはこちら
「これってパワハラ??パワハラにあたる具体的な言動」
実際の相談に応じる中では、この5年間でパワハラに対する組織の取り組みや対応が劇的に改善しパワハラが減少しているとは、残念ながら全く感じてはませんが、少しずつでも改善の兆しは見えてきているようにも感じています。
この記事では、職場のいじめやハラスメントを受けた時どうすればいいのかお伝えしています。

パワハラを会社に伝えても…
11.6%
この数字は、厚生労働省が行った調査で、「会社はあなたが受けた行為をパワーハラスメントと認めましたか」という項目に対して、「あなたが受けた行為をパワハラと認めた」と回答のあった数です。
さらに、「パワハラがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」というケースが6割弱という結果でした。
パワハラの定義
そもそも、パワーハラスメントについて厚生労働省は、次のように定義しています。
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」
つまりポイントは次の3つ
- 職場内の優位性を背景とする言動か
- 指導の目的があるか
- 指導方法は適切か
「パワハラの被害を受けていると本人が感じればパワハラである」というものではありません。
業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、それが“指導”の目的であり“業務上の適切な範囲”で行われている場合は、それはパワハラにはあたらないとされています。
それでは業務上の適切な範囲でない指導とはどのようなもの??
パワハラにあたる6つの言動
厚生労働省ではパワハラの6つの類型をあげています。
- 身体的な攻撃:蹴ったり、叩いたり、社員の体に危害を加える行為
- 精神的な攻撃:同僚の目の前での叱責、他の職員を宛先に含めてメールでの罵倒、必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱るなど
- 人間関係からの切り離し:隔離、会議・研修に出席させない、仲間外し、挨拶をしない、無視など
- 過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害など
- 過小な要求:業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないなど
- 個の侵害:私的なことにかどに立ち入る、プライバシーを暴露されるなど
*1〜6は、パワハラに当たりうる全てを網羅したものではなく、これら以外は問題ないということではありません。
厚生労働省の「あかるい職場応援団」というサイトでは、あなたを悩ませるパワハラが、どの種類のパワハラに当たるかをチェックしてみることができるページがあります。
http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/worry/check
パワハラを会社に相談する前に
せっかく勇気を出して、パワハラについて会社に相談をしても、「あなたの感じ方の問題」と軽くあしらわれたり、もっとひどい場合には、会社に告げ口をしたとパワハラがエスカレートしたり、職場内で噂になってしまったりすることすら起こっている現状もあります。
日々あなたに嫌な思いを強いているケースは上記のどれに当たるかなど、可能であれば出来事を少し整理して、何か証拠があればそれも添えて、社内外の相談窓口を利用すると解決へ向けての近道になるかもしれません。
被害者であったはずの自分が会社内で不利な立場に立たずに済むように、また今は少し弱っていて自分ひとりで状況を整理することが難しい時には、まずは信頼できる誰かや専門家に相談してみることも大切です。
上司と部下という関係だけでなく、同僚からのハラスメントや、後輩から先輩へのハラスメントなど、いろいろなケースがあります。
パワハラ、セクハラなどというと上下関係(権力)の間での嫌がらせを連想しがちですが、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれるとされています。
他人を傷つける人たち
精神科医である香山リカさんの著書「知らずに他人を傷つける人たち」の中で、香山さんは職場のモラルハラスメントの加害者を4つのタイプに分類しています。
誇大妄想型:過去の誇張された実績や将来への誇大な期待などを妄想し、周りの人間が自分を崇めることを期待し、要求するタイプ。いつも傲慢で部下への共感性は乏しい。
徹底管理主義型:「部下は上司に従うもの」という価値観のもと、部下に自分の言う通りに従い行動することを求める。自分がそのようにまわりを支配することが、秩序の維持には不可避であると信じて疑っていない。
被害妄想型:世の中や他人に対しての警戒心が強く、部下の行為や曖昧な言動などを悪意のあるものとして考え、先制攻撃を加えようとする。
怠業型:自分は能力があるので一生懸命働くのは馬鹿らしいと考えており、そのツケを部下にまわす。また、何かにつけて体の調子が悪い、ウツだと言って、それを理由に仕事から逃避し、部下に仕事を押し付ける人もいる。
パワーハラスメントという言葉から連想するような、部下を怒鳴りつける、無理な仕事を強要するという行為だけでなく、上記の分類のような、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為もまたハラスメントと考えられるのです。最近はこういった行為も増えているのではないでしょうか。
職場のいじめやハラスメントどうすればいい?
ハラスメントが行われていることを会社側が認めようが認めまいが、相談に来る方の日常では、実際にいじめが行われていて、本人がとても苦しんでいることは事実です。
「会社に言ってもどうせ何もしてくれないから」
「嫌がらせを受けるのは私が悪いから」
「こんな話だれにもできない」
・・・と、一人で抱え込むことなく、いじめがエスカレートする前に、まずはぜひ信頼できる誰かに相談してみてください。
パワハラ等の嫌がらせを受けて精神的に疲弊した状態になってしまうと、論理的に話を伝えることができず感情的になってしまったり、物事を冷静に判断する能力が弱くなってしまったりします。
そうした状態で会社の担当者や上司へ相談したのでは、こちらが不利にもなりかねません。
職場のいじめによる辛さはため込まずに誰かに聴いてもらいつつ、嫌がらせの事実を証明してくれる同僚や、録音や書類等の証拠を確保して、それらの客観的事実をもって会社側へ状況の改善を申し出ることが有効かと感じています。
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こんにちは、精神保健福祉士の杉山です。
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