ストレスにさらされても元気でいることができる3つの秘密
社会の多様化や経済状況の悪化等、現代社会の変化はわたし達に多大なストレスをもたらしました。
そもそもストレスって・・・?
もともとは物体に外力が作用した時に生じるその物体の歪みを指す工学の用語。
ストレスとは、「外からの刺激による生体側の歪みと、その刺激に対抗して歪みをもとに戻そうとする生体側の反応」
そして、ストレス要因(刺激)を受けるとその刺激に対抗して、身体面、心理面、行動面に反応が生じます。
これがストレス反応(症状)です。
このストレス反応は3つの段階に分けられます。
第一段階(初期反応期):外部からの刺激により、身体が反応し始める。
第二段階(抵抗期):副腎皮質の肥大・ホルモンの大量分泌が起こり、生体が持つ全エネルギーが外部刺激に対して使われ、不眠も生じる。
第三段階(疲弊期):外部からの刺激が続く事によって、生体が疲れ果て、他に適応するエネルギーが消耗し、身体の抵抗力が非常に弱まってくる。
ほどよく張ったゴムボールをイメージしてください。
そのゴムボールを健康なこころとします。
健康なこころは外からの刺激がなくなれば、元の状態に戻ることができます。
また外からの刺激を跳ね返すこともできます。
しかし、外からの刺激(ストレス要因)が大き過ぎると、刺激を跳ね返す力が弱まっていき、長くストレス状態が続くと、下記のように心身に変化が生じ病気につながっていくことになります。
- 身体反応:全身の緊張、動悸、口が渇く、発汗
- 精神・心理反応:不安、抑うつ
- 行動反応:出社困難、引きこもり、暴力、アルコール多飲、性的行動の偏り
首尾一貫の感覚とストレス反応
同じ出来事に出合っても、ストレス反応が大きく現れる人と、ほとんどストレス反応が現れず元気な人がいます。
それはなぜなのか。
その鍵は「首尾一貫の感覚(Sense of Coherence)」
最近労働者のメンタルヘルスの分野でよく使われる言葉にSOCというものがあります。
これは医療社会学者アントノフスキーにより、健康生成論に基づいて考えられたものです。
それまでの「どうして病気になるんだろう」という疾病に焦点を当て、疾病要因を探し出しそれを失くす、または軽くするというアプローチから、「どうして元気なんだろう」という健康に焦点を当てたのです。
この首尾一貫の感覚は3つの感覚から成り立っています。
- 困難を乗り越えて生きようとする感覚(有意味感)
- 将来起こることを予測できる感覚(把握可能感)
- 周囲からの協力が得られるという感覚(処理可能感)
例えば、職場でも、
- 自分がやっている仕事に意味を見いだせているか
- 今の業務があとどの程度で終わるかやその後の流れを把握できているか
- 自分だけでできない部分は周囲の助けを借りることができるか
この3つがすべて「イエス」という状況と、すべて「ノー」である状況を比べてみるとどうでしょう。
恐らくすべて「ノー」の人は心身に何かしらの反応が現れてしまいます。
ストレスにさらされても元気でいるためには、3つの首尾一貫の感覚を大切にすることが有効です。
ストレス対処力が高い人は、人生を意味のあるものだと考え、その中で起こる様々な出来事は自分への挑戦であり、自分のエネルギーを投入して関わる価値のあるものだととらえる傾向にあるそうです。
ストレス対処力は固定のものではありません。何歳からでも高めることが可能なものです。
自分はストレスに弱いから・・・と諦めていた方も、まずはこの3つの感覚を意識してみると、ストレス反応がグーッと少なくなるかもしれません。