適応障害~逃げるも一つの選択肢~

進学や就職、転職や異動など、環境や生活パターンが大きく変化する方が多い春。
すでに「この環境、合わない!!」と感じている方もいるかもしれません。

環境に適応できない状態は大きなストレス

抑うつ気分や不安などの情緒面の症状
頭痛や肩こりや倦怠感や手の震えなど身体面の症状
酒量や喫煙の増加や電話やメールに返答しないなど行動面の症状
ストレスが原因となって、そのストレスの発生から概ね3ヶ月以内に、これらの症状が発生し、通常予測されるものをはるかに超えた苦痛もしくは社会生活、職業・学業的機能において著しい障害が起きている。
これは精神科医療では適応障害とされます。
適応障害という言葉、雅子さまに関する報道などで、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。


精神科医の坂元薫先生の著書「うつ病の誤解と偏見を斬る」の中には、適応障害とは次のようなものだと書かれています。
「・・・つまり適応障害とは、そうした明白なストレス因子にさらされるまでは、通常に社会生活に適応できていた人たちが示す心理的反応(心因反応)を意味する概念なのである。発症の主たる要因は環境であり、性格ではない。」
学校のクラス替えや転校、進学を境に新しいクラスに馴染めず不登校の状態にあることや、職場の配置転換、昇進、転勤等で新しい環境や立場に馴染めず休みがちの状態にあることの背景には、もしかしたらこの適応障害を起こしているという状況があるかもしれません。

そうした時に、周囲の人が、「本人の怠け心だ」とか「わがままだ」と指摘し責めることは、本人にとって何のメリットもないばかりか大きなダメージにもなり得ます。

適応障害の症状を軽くする2つのアプローチ

置かれた状況がストレスになるかならないかは、個人差があります。
それは本人の適応力やストレス耐性だけでなく、価値観やライフスタイルが合うか合わないかということも大きく影響します。
周囲の人が、安易に自分の価値観や視点で、いくら説得したり慰めたりしても、本人にとっては「自分の苦しさを分かってもらえない」という思いだけがつのり、ますます辛い気持ちになってしまうこともあります。

そこで、適応できずにいる苦しい状態から抜け出すための、二つのアプローチ。

・馴染めない環境という最大のストレスから解放されること(環境を変える)
・環境に適応できるような適切なサポートを受けること(自分を変える)

一つ目の方法は言葉を変えると「逃げる」ということにもなります。逃げるというと良くないこと、マイナスなことと捉えがちで、そうした選択をせず我慢したり環境に適応できない自分を責めたりしてしまいがちですが、「逃げる」というのも時には必要な手段です。
ただそれと同時に、二つ目の方法である「自分を環境に適応させる」ことも徐々にできるようになると、長い人生の中で再び合わない環境に身を置かなくてはならなくなった時も、適応障害の状態にはならないということに繋がります。

適切な環境調整がされないまま放置されてしまうと、脳内の神経伝達物質の機能異常となり、本格的なうつ病へと移行することも考えられます。

適応障害になる方は、自分一人で頑張ってしまいがちです。
自分一人で環境を変えようとか、自分を変えようとせず、適切な人に相談し、周囲のサポートも利用することも大切。

適応障害の症状を改善するためには、自分にとって、あるいは適応障害で苦しんでいる身近な人にとって、どういう状況が苦手でストレスになりやすいのかどのように環境を調整すれば適応が容易になるのか、という視点で状況を整理して、対応していくことが求められます。

適応障害の状態が長期化したり、本人の適性や志向とのギャップがあまりにも大きいと、どんなサポートもうまくいかず、身体を壊したり、回復にさらに長い月日が必要となることもあります。
今いる環境が自分に合わず、心身にストレス反応が現れ始めたら、ぜひ早めのSOSを発信してくださいね。


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